TYMOTE(ティモテ)の展覧会「ハブとマングース」が、東京ミッドタウン内デザインハブで開催されている。期間は、2017年11月27日(月)から12月24日(日)まで、入場は無料。実際に足を運んでみて、大変興味深い展示であったので、写真とともに紹介します。

東京ミッドタウン・デザインハブ 第70回企画展
「ハブとマングース」

TYMOTE(ティモテ) とは

TYMOTEは、武蔵野美術大学、多摩美術大学、桑沢デザイン研究所などの卒業生が“在学中に立ち上げたクリエイティブチーム”。結成は今から10年前の2007年。会社の設立は2008年なので、10年目という節目の年に「ハブとマングース」は、東京ミッドタウン・デザインハブ 第70回企画展として開催された。展示されているものは、グラフィック、ムービー、ソファ(テキスタイルを独自に制作)、什器など、多種多様。その理由は、TYMOTEの扱うクリエイティブの幅広さにある。

TYMOTEの強み・特徴とは

グラフィックデザインが軸だが、メンバーそれぞれがグラフィック以外の強みをもっており、「映像」「CG」「音楽」「アート」「インターフェースデザイン」「Web」「ファッション」「タイポグラフィ」など幅広い領域をカバーできるのが強みだ。個人個人、それぞれ独立した活動もしており、それぞれが一流のレベルのスキルを有しているため、ハイクオリティな創造が可能になる。

 

世に放たれた“独特なグラフィックやムービー”は、ほかのクリエイティブエージェンシーや制作会社では見ることができないような個性に溢れていることに気が付くだろう。その個性を作り上げているのに大きく寄与しているのは独特な「制作物の作り方、過程」にある。

 

TYMOTEは、普通の制作会社が行うような制作体系を持っていない。簡単にいうと、縦割りの組織構成でないということだ。

通常の制作会社のデザインチームの構図

 

通常のクリエイティブチームは、上記のようにクリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナーと、コンセプトを落としながら、最下層にいるデザイナーが実際に手を動かすことが多い。

 

だが、TYMOTEの展示作品は複数人に制作物をパスしながら、グラフィックを作り上げていく。この「セッション型の制作」は、同じレベルの制作物を作れる人が集まらないと意思疎通が難しく、クオリティを上げることができないが、TYMOTEのチームは全員がハイレベルな制作ができるため、セッション型の制作進行を可能にしている。

TYMOTEの制作体制

この制作方法ができると、何が起こるかというと、足し算式の制作方法が可能になる。TYMOTEのグラフィックの特徴として色々なテクスチャーが張られているが、それらは足し算のクリエイティブによって生み出されているものだろう。

スポンサーリンク

展示内容

展示内容はチャプター1から6までに分かれており、「ハブとマングースの出会いから別れ」を描いている。

チャプター1 旅立ち

「ハブとマングース」
チャプター1「旅立ち」

入口からまっすぐ進むと、まず現れるのは“旗”だ。遠目からみると、TYMOTEのアイコンである馬が描かれているのがわかる。また、下には船が描かれており、まさに旅立ちを表現した展示だ。

チャプター2 孤独

「ハブとマングース」
チャプター2「孤独」

この「孤独」の章から、沢山のグラフィックとアクリル板、ムービーが展示されている部屋に移る。波を描いたような青と白のテクスチャーが印象的で、ムービーでも躍動感のある動きで表現されていた。チャプター2では、マングースが広大な海を必死に進む姿を見ることができる。

「ハブとマングース」
チャプター2「孤独」

チャプター3 出会い

「ハブとマングース」
チャプター3「出会い」

マングースが島にたどり着き、ハブと出会うのがチャプター3。この什器も、自分たちで作っているというから驚きだ。

「ハブとマングース」
チャプター3「出会い」

「ハブとマングース」
チャプター3「出会い」

チャプター4 困惑

「ハブとマングース」
チャプター4「困惑」

チャプター4では、共生を始めたハブとマングースが描かれている。「困惑」という章の通り、二つの個性が混ざり合いながら、自らを再認識し、さらに溶けていくような、“自分自身の存在、価値に疑問が生じる”作品が展示されている。二つのムービーが向き合うように展示されており、ムービーの上に張られたミラーが相対するムービーを映し出し、ハブとマングースの融合が描かれていた。

チャプター5 新生

「ハブとマングース」
チャプター5「新生」

これまで使われていなかった赤い色が使用されており、ハブとマングースによる新しい創造の兆しを表現しているのがチャプター5。「新生」の章は、これまで以上に荒々しく、またカオスなテクスチャーが張られている。

チャプター6 別れ

 

チャプター6まで見てみて、個人的に感じたのは「ハブとマングースの出会いと別れというストーリー」が、TYMOTE自身のストーリーに見えてくる、ということ。それは制作方法という点だけでなく、TYMOTEというチーム結成から、個人が独立した活動も行い、さらにその活動がチーム・クリエイティブに影響をもたらす、ということにも繋がっていると感じた。10周年を迎えた彼らが、これからどのような道を選んでいくか、期待が高まる展示内容なので、ぜひその目で確かめてほしい。

展覧会概要

東京ミッドタウン・デザインハブ第70回企画展「ハブとマングース」

会期:2017年11月27日(月)~12月24日(日)

開館時間:11:00 – 19:00

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
住所:東京都港区赤坂9丁目7番1号ミッドタウン・タワー5階

入場料:無 料

主催:東京ミッドタウン・デザインハブ

企画・運営:武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ、株式会社モーフィング

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう